人生初めてのデート
25歳の夏。
僕は人生で初めて女の子とデートした。
世間一般的に考えるとかなり遅い初デートだろう。
だけど、オナ禁戦士である僕はそんなこと気にしない。
俺は人より人生経験が少し遅いだけだ!そう思うことにした。
アルバイトを初めて半年。つまり、オナ禁を初めて半年のことだった。
僕は当時、フィットネスクラブでアルバイトをしていた。職場は、圧倒的に女性の方が多く、男は肩身が少し狭かった。
肩身が狭いといってもバイトどうしは、とても仲が良く、アットホームな職場(笑)だった。
そにいたのが、僕より半年先輩の彼女だった。
彼女は僕の5個下の20歳のフリーター。ショートカットで、顔はあまり可愛くはないけれど、とても笑顔が素敵で愛嬌があった。
いつも持ち前の明るさで、俺をいじっていた。だけど、俺がミスをした時はさりげなくフォローしてくれたり、とても優しく接してくれた。
そんな彼女を僕はだんだんと好きになっていった。
青春だ。
青春時代の自分は、好きな人ができても目で追うくらいしかできず、話しかけるなんてもってのほかだった。
しかし、オナ禁戦士の今は少し違っていた。
彼女と一緒のシフトの日は朝からテンションが高く、舞い上がり、朝シャンして髪の毛をきっちりとセットする有様だった(笑)
そして、金曜日の遅番の日。僕はこの日、限界を突破できた。運命の日だ。
彼女と二人でマシンを掃除している時、さらっと、
「今度、焼肉食べに行こうぜ。」
自分でも信じられないくらいさらっと言葉が出た。まさに奇跡!
おっけー。をもらったのである。
人間って案外、さらっと壁を越えられるもんなのかなあ。とその日は感傷に浸ったり、突然叫びだしそうになったり、情緒不安定だった。
そして、運命の焼肉当日。
不安と期待と緊張で頭がどうにかしそうだった。
なんか今日はいつもと違うね。と言われながら、べ、別にとオナ禁戦士は平静を装っていた。
果てしない緊張感が襲ってきたので、禁断の果実であるビールを注文した。
こうかはばつぐんだ!
何を隠そう僕はすぐに酔っ払ってしまうのである。
ガソリンを注入してからの僕はすごかった。別人かと思われるくらいしゃべり、彼女の悩みを聞き、お互いのプライベートの話をしてかなり盛り上がった。つもりだ。
盛り上がりながら、店を出て良い雰囲気だった。
そこで僕は彼女の手をとった。オナ禁戦士は肉食系すぎる。
初めて握る女性の手。
とても柔らかく、温かく、優しいはずだった。
僕の握ったその手は固く閉ざされていた。
彼女のグーを僕のパーが覆っている状態である。
僕はどうしていいかわからず、ただただ強く彼女の手を握っていた。
彼女も必死の形相で、見て見て〜!とうまいこと信号で振りほどかれた。
そして、駅で笑顔でお別れし、楽しい初デートは幕を閉じた。
これがオナ禁戦士である僕の初デートだった!
翌日、彼女は何事もなかったかのように接してくれた。優しすぎです。